日本酒学：新しい学問分野の誕生

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日本酒学とは何か

日本酒学とは、日本酒について研究する学問です。2018年に新潟大学と神戸大学が「日本酒学」というプログラムを始めたのを皮切りに、現在さまざまなかたちで全国に広がっています。日本酒学は、その名のとおり、日本酒について研究する学問ですが、同じ名前がついていても内容がすべて同じというわけではありません。

ディシプリン型の学問とパッケージ型の学問

ディシプリン型の学問とは、農学や経済学のような従来の学問分野であり、それぞれの研究分野に蓄積されている原則や方法論があり、それに基づいて研究が展開されていきます。一方、パッケージ型の学問とは、日本酒学のように対象を限定してパッケージ化する学問分野であり、理系や文系を問わずさまざまな学問領域の人たちが集まり、『日本酒』というひとつのテーマを対象として、それぞれの専門のディシプリンからアプローチすることになります。

全国で広がる日本酒学

新潟大学、神戸大学、広島大学、拓殖大学北海道短期大学、山形大学、帯広畜産大学など、さまざまな大学や機関が「日本酒学」やそれに準じた学問を掲げています。新潟大学では、新潟県酒造組合、新潟県との産官学連携のもと、2018年4月1日に「新潟大学日本酒学センター」を設立しました。

日本酒学の内容

日本酒学は、醸造・発酵などの自然科学（理系）分野から、流通・販売、法律・歴史・文化などの人文社会科学（文系）にいたるまで、学際的に教育・研究する領域横断的な学問です。新潟大学の日本酒学センターでは、大学院にて博士前期課程、博士後期課程が始まりました。また、ワイン学で有名なフランスのボルドー大学、アメリカのカリフォルニア大学デイビス校と協定を結ぶなど、国際的な学問分野の拡大にも力を入れています。

日本酒学の将来

新潟大学の岸保行先生は、「将来的には大学間のネットワークを作り上げたい」と構想を話します。現在、新潟大学では、ワイン学の権威であるフランスのボルドー大学におけるISVV（ブドウ・ワイン科学研究所）やアメリカのUCデイビス（カリフォルニア大学デイビス校）と連携をしています。また、日本酒学を掲げるさまざまな研究組織が必要ですし、日本に限らず、海外にも『Sakeology』を設立する大学が増えていく可能性はあると思っています。